第2373回例会
第2373回例会(2025年7月28日)

「似ているのは顔だけじゃない!親子の口腔環境の深い関係」
北海道医療大学歯学部 口腔構造・機能発育学系小児歯科学分野
蓑輪 映里佳 様 卓話



箸やスプーンを子どもと別のものにしても、近くでくしゃみしたり、コラッってしかったりすれば、つばが飛んで感染します。つば一滴の中に沢山の細菌がいます。やはり元から正すのが一番です。

夫婦間の口腔細菌の共有率も高い。遺伝的に離れた関係であっても、共同生活者は口腔内細菌叢は似てくる!

感染の窓 生後1歳半から3歳ころ
1)食べさせ方に気をつける大人が使ったスプーンで食べさせない、噛み与えをしない、フーフー冷ましをなるべくしないなど。
2)うがいのコップも別々にこの頃は歯みがき練習期。うがいのコップは子ども専用に。
3)お口へのチュッに気をつけるお口へのキスも意外な盲点。 でも、スキンシップが減るのは考えもの。あまり神経質にはならないように!
4)親自身がしっかり歯みがきを家族に虫歯が多いほど、子どもに感染しやすいと言われています。自分自身の虫歯にも気をつけましょう。
虫歯予防のために、食後の歯みがき習慣、甘いものを食べすぎない、ダラダラ食べを避ける(唾液での中和が遅くなり虫歯になりやすい)、定期的に歯医者へ行きフッ素ケアをする、なども大切。「感染の窓」が開く時期を親子で一緒に乗り切りましょう!
特にこの時期に母親の口腔内環境が悪いと、子どもへの感染リスクが高まります。

父親からも子どもに細菌が伝播する可能性
子どもに見られた70の型のうち、母親と一致したのが36型(51.4%)、**父親と一致したのが22型(31.4%)**であった。そして両方と一致しない型も18.6%存在
Intrafamilial distribution of mutans streptococci in Japanese families and possibility of father‑to‑child transmission(Kozai et al., 1999)
広島の小学生とその両親296組を対象に、構造方程式モデルで分析。
両親の口腔行動(歯磨き頻度など)が、子どもの口腔行動と虫歯状況(DT)に直接および間接的に影響することが明らかに(親の行動 → 子の行動 → 子の口腔状況)PubMed。→ 父親も家庭内で子どもの習慣づくりに重要な役割を持っています。
Influence of parents’ oral health behaviour on oral health status of their school children(広島大学ほか)
両親(母・父)の歯磨き頻度が低いほど、子どもの歯磨き頻度も低くなるという統計的関連が確認されました。特に、父親の習慣が子どもの口腔ケア習慣に顕著に影響するという新たな知見も報告されています
Parent’s self‑reported tooth brushing… associations with 1‑year‑old child’s preventive oral health behaviour(Suokko et al., 2023)

