第2307回

第2307回例会(2023年9月17日)

「疾病予防と食生活改善」
北海道健診内科クリニック 保健師 天野 かずみ 様

 
 健康診断の際に医師に言われる、「痩せた方が良いですよ」とは、どういう意味でしょうか。医師は便宜上そのような表現をしていますが、本当は、「内臓脂肪を減らすように」と言いたいのです。もう少し補足すると、「糖や脂肪などのエネルギーの取りすぎで肥大化した脂肪細胞を小さくするように」と言いたいのです。食事からとりすぎたエネルギーは消費されずに脂肪細胞に蓄えられます。肥大化した脂肪細胞からは、高血糖や脂質異常、血圧の上昇を引き起こす物質が分泌されるようになります。さらには、血栓を作りやすくする物質も分泌されるようになり、動脈硬化という血管の異常が進んでいきます。動脈硬化は、脳や心臓だけではなく全身で起こります。場合によっては後遺症を残したり、生活制限や、運動制限が必要になる重篤な病気を発生させます。このような生活習慣に関連した病気で亡くなる方は、国民の2人に1人位と言われています。つまりは生活習慣を改善することで、ある程度予防ができるということです。

1:塩分について
日本人の平均的な塩分の摂取量は、現在10.1g程度だと言われています。これはWHOの目標摂取量の2倍です。塩分は、血管内の水分量に影響し循環血液量を増加させます。その結果、血管内に高い圧力がかかるようになります。これが、慢性的な高血圧の発生につながり動脈硬化を進めます。2020年~食品の栄養成分表示が変わり、「食塩相当量」の表示が義務化されました。牛乳やヨーグルトにも「食塩相当量」の表示があり、塩分があることに気が付かれた方もいると思います(ごく少量です)。このように、知らないうちにとっている塩分があるようです。目に見える食塩制限も大切ですが、「食べ過ぎ」により、結果としてたくさんの塩分をとってしまうことの無いよう、腹八分目を心がけましょう。

2:飲酒について
大量飲酒は、アルコール性の脂肪肝の原因になり、それだけで肝臓疾患につながります。さらにアルコールは肝臓で中性脂肪の合成を高めるので、その結果、脂肪細胞の肥大化が起こり動脈硬化性疾患の原因になっていきます。お酒は純アルコール量で20g以下にするようにしましょう。

3:たんぱく質について
たんぱく質は、体の材料になる重要な栄養素です。筋肉の材料にもなるので、余剰なエネルギーを消費しやすい体づくりのために、1日50~60g、毎食20g程度を目標に規則正しくとるようにしましょう。

4:野菜について
野菜には、ビタミンミネラル、食物繊維、ファイトケミカルなど、体の調子を整える作用を持つ栄養が豊富に含まれています。ビタミン、ミネラルは、体のさまざまな場所で補助的な役割をしたり、他の物質と共同して体の状態を整えたりする働きをしています。食物繊維には、2種類あります。便通をよくして腸内環境を改善させる不溶性食物繊維と、糖や脂肪の吸収を緩やかにする水溶性食物繊維です。どちらも、生活習慣病の予防に必要な栄養です。ファイトケミカルとは、野菜や果物などの植物自体が、外敵から身を守るために持っている成分のことです。ポリフェノールやカロテンなどがその一例で、数多く存在しており、抗酸化作用を発揮します。抗酸化作用とは病気の発生予防につながる働きです。野菜を取ることで、植物自体の持つ有用な成分を取り入れることが可能です。

まとめ
食事は減塩と腹八分目の量を守り、タンパク質と野菜は3食しっかりとりましょう。
アルコールは適量を維持しましょう。
定期的に健康診断を受けて、自分の体の状態を知り、病気の発生予防のための生活改善に努めましょう。