第2291回

第2291回例会(2023年5月8日)

「国際協力による学生教育」
北海道医療大学歯学部整体機能・病態学系顎顔面口腔外科学分野
永易 裕樹 様

 
 この度、蓑輪隆宏会長よりご推薦いただき、北ロータリークラブにて卓話する機会を頂き大変光栄に存じます。また日頃より貴会の社会奉仕活動に対して心より敬意を表します。今回、「国際協力による学生教育」について本学での取組みを紹介させていただきます。全学教育および歯学部教育に海外研修が含まれており、私もその一役を担っております。大学院時代は貴会会員の小林博先生のもと研究の進め方、結果の読み方、考え方、そして研究者としての頭を鍛えていただきました。現在の礎となる4年間に大変感謝しております。現在は臨床50%、教育40%、研究10%程度のeffortで仕事に従事しております。本業は口腔外科で、顎変形症、損傷、炎症、嚢胞、良性・悪性腫瘍など比較的広い守備範囲で診療をしております。日本の国際化の取り組みとして、首相官邸において2013年の日本再興計画の中の「国際展開戦略」にも海外留学者数の増加を掲げており、年間12万人の目標値に迫っていましたが、2020年以降は新型コロナウイルス感染症の拡大で大幅減に至ったものの、今後の回復が期待されます。文科省でも、国際社会においてリーダーとなれるような交渉力、コミュニケーション能力を有した人材育成の必要性と研究者等の海外研鑽機会の拡大のための支援事業を展開しております。本学でも国際化の意義として、保健・医療・福祉の面で国際社会と協調して優れた人材養成を目指し、教育研究の国際交流を推進して、国際貢献を果たすこととしております。本学の国際交流の活動には、アルバータ大学語学研修、短期臨床研修の海外派遣と受入れ、海外大学院生の受入れ、教職員の海外留学、共同研究および姉妹校締結等がありますが、特に短期臨床研修の海外派遣は本学の特徴的な取り組みであります。提携校は東南アジア、北米、ヨーロッパと23校となっております。短期臨床研修は、コロナ禍4年間の活動休止期がありましたが今年度より再開となり、15名の歯学部生が希望施設にて臨床研修をしてまいりました。異文化、自分達と異なる歯学教育に触れることで個々に思うところ多かったと聞いております。今後、短期研修をもとに学生が歯科医学と向き合う姿勢の刺激になることを祈っております。当講座においても国際交流を推進しております。1997年より、以前貴会で講演された千葉逸郎教授のお誘いのもと、スリランカでは噛みタバコにより口腔がんが多発していることから、現地で発がん物質同定と、ターゲット遺伝子の究明を進め、論文報告もしてまいりました。「Betel chewing」から「Gum chewing」へと嗜好変換の啓蒙活動も行いましたが、限られた地域ということもあり困難を極めました。小林博先生もスリランカに対し奉仕活動を進められており、児童を対象とした「健康教育」を熱心にされ、今後の疾病構造の変化が期待されます。また、2017年、エジプト-日本教育パートナーシップが政府間で締結され、エジプトの口腔外科医を1.5年受入れました。政府選抜第1号歯科医師で外国人臨床修練医制度のもと、厚労省の認可も得てon the job trainingで実際の診療行為にて研修を修了しております。帰国後は指導的立場に就かれており、僅かな国際貢献ができたものと思っております。国際協力による教育が学生のグローバルマインドの涵養となり、自己理解が深化し、将来の社会貢献につながることが重要であると考えております。本学にも米山記念奨学会よりご支援を受けた大学院生がおり感謝申し上げますとともに、今後、貴会のますますの発展を祈念申し上げます。

(原文のまま掲載)