第2249回例会

第2249回例会(2022年3月7日)

「神仏判然と神職の社会奉仕」
草間 孝廣 会員 卓話
 
一般的に日本人の日常の中には、昨今は減少しつつありますが、一つのご家庭の中に神道の神様をお祀りする神棚と、御先祖様や宗派の宗祖を御本尊としてお祀りするお仏壇の両方が存在し、外国の方から眺めたら日本人の宗教性について一体何教を信仰する民族なのかと不思議がられるかもしれません。
赤ちゃんの初宮詣や七五三、厄祓や安全祈願などの予祝事、祝賀事には神社で行い、ご葬儀や法要などの法事にはお寺さんに依頼するということが、ごく一般的です。上代の6世紀なかばに百済から仏教が伝えられてから、日本では神様と仏様の両方が信仰の対象として存在し、神仏習合、神仏混淆の時代を長い間経て、明治に入ってから、神社と寺院をはっきりと区別しましょう、と時の政府の発した神仏判然令という法令により、現代のようにこれは神様でこれは仏様と分けられました。しかし、これらに当てはまらない道祖神や台所の荒神様やトイレの神様のように、民間信仰と呼ばれる信仰対象も未だに根強く存在します。
つまり、日本人は宗教的に無節操の民族ではなく、いろいろな事象さえ畏怖すべき尊い存在、幸福と安寧をもたらす大切な存在として接してきました。古くからある神社寺院などの既成宗教はあまり押しつけがましくなく、ちょうどいい距離を保ちながら心を寄せる方々に寄り添ってきました。また日本人もこうした宗教の在り方とともに日常生活を送れることを望んできた実に寛容な民族といえます。歴史上宗教戦争が一番多くを占める中にあって、神様と仏様の両方に手を合わせる日常が、実に平和で美しい風景と言えるしょう。世界に誇る信仰の在り方、宗教性と自負しております。

さて、神職、神主、からイメージされるのは、やはり狩衣烏帽子を着装して祈祷をしている姿を浮かべると思いますが、私にはもう一つの大切なボランティア活動があります。それは刑務所で収監者に対して、講話や説法、相談などの対話を通して心的に情操性を養い、社会復帰してもらうための教誨師という活動です。道内には札幌刑務所、女子専用の札幌刑務支所、月形刑務所、旭川刑務所、帯広刑務所、網走刑務所、釧路刑務支所、函館少年刑務所があり、私は札幌刑務所と札幌刑務支所の二か所に駐在する教誨師の一人で、札幌には各宗派から定員30名の神職、僧侶、牧師などが法務省より任命されております。神社本庁に属する神職は教誨師では私一人でして非常に肩身の狭い思いをしております。
活動内容は他宗ではお盆の法要やミサをはじめ、月に一度、一時間ほどの教誨の時間により教理に従った説法を中心に収監者に寄り添って諭しております。私は年末に行う年越大祓という行事を12月上旬に刑務所と刑務支所の二か所で収監者多数の参列のもと斎行しております。ここ数年には今まであまり声が掛からなかったのですが、最近は神社本庁教誨師にもリクエストがありまして、教誨を勤めております。しかし他宗のような教理経典が神道にはありませんので、神話や主要神社の説明を対話形式で行っており、毎回模索の手探りで行っているところに答えに窮する鋭い質問が飛び交いますので、ガマの油絞りのような状況ばかりです。直近は是非お伊勢参りの気分を味わっていただきたいと、東海道中膝栗毛にからめて講話を始めましたら、ほどなく2月の蔓延防止等重点措置が発せられ、弥二さん喜多さんが準備を整えて日本橋を出たところで終わってしまいました。必ずリベンジしたいと思います。
札幌の刑務所はここ10年ほどで全ての管理棟や事務所、収監棟が建て替えられ先年全部新築されましたので、とても清潔で冷暖房完備の実に快適な、規則正しい健康的な刑務所ライフが送られますので、是非情勢をみて見学できればと思っております。
ご清聴ありがとうございました。
 

「コロナ禍での会長、海外で大変な経験、海外から見た日本について」
斉藤 昌一 会員 卓話
 
今回、プログラム委員会からテーマをいただき、それについて卓話をさせていただきます。
日頃より、私は終わったこと全て良い経験で自分の糧になり大変と思っておりません。50年度は、私の知識の乏しさやリーダーシップが足りず、会員の皆さんと各委員会には大変ご迷惑をおかけして申し訳ない思いと、通常ではすることのない大役を学ぶ機会をいただき感謝の気持ちです。当初、年度が始まる前は、札幌北クラブ創立50周年、東京オリンピック・パラリンピック、世界平和、スポーツの祭典と、クラブの今までの社会奉仕事業を結び合わせた奉仕事業、親睦活動をイメージして取り組みたいと考えておりました。しかし、1回目の第2200回例会は、私の推薦者でもあります福田十太郎会員がご逝去されたため黙祷からの悲しい始まりでした。そして、感染症拡大防止のために例会時間30分、スクール形式の着席、昼食のお弁当は持ち帰りとなりました。結局、一年間はスクール形式で一度も夜間例会は出来ませんでした。
私はロータリー歴12年で幹事の経験もなくクラブ運営には不慣れであり、自分が出来なかったことよりも、それ以上に各委員会、創立50周年で立ち上がった実行委員会の皆さんに多くの活動、事業をしていただき大変感謝しております。コロナ禍のために計画や企画を練り直し、50年度だけでなく51年度まで活動を継続していただく委員会もあり恐縮しております。不要不急の外出制限の中で、平日、週末を問わず活動していただきました。会場はホテルユキタでよく行われましたが、ご報告の動画撮影や、時には夜間親睦会のように楽しく過ごさせていただきました。また、大倉山の移動例会、2度の家庭集会、50周年記念ゴルフ大会は忘れられない楽しい想い出です。私の仕事は業界で過去にない厳しい状況で虚無感がありましたが、お陰でそれも埋めていただき感謝しております。コロナ禍であらためて、札幌北ロータリークラブの絆と、寛容の精神を感じることになり、入会して一番良かったと感じた年度となりました。最後に、黑川幹事には私の纏まらない考えをいつも言葉と書面にしていただき、大変お世話になり感謝しております。また、心臓に相当の負担をおかけしたことと大変心配しております。

次に、海外での経験についてですが、私は1983年に旅行業界に入り、今年で39年になります。国内、海外ともに、視察、研修、大会などをオーガナイザーと一緒に計画する機会が多くありました。地球の歩き方、携帯電話、インターネットも無く、観光客があまり行かず詳しい地図もないところへ行きましたので失敗も多かったです。大変お世話になりました二つ団体についてご紹介させていただきます。
一つは、谷口良一会員(故)が会長、福田十太郎会員(故)、大西勲会員が理事で平成元年に発足した「札幌国際親善の集い」国際文化交流の団体で、1990年にソ連のモスクワ、レニングラード、ノボシビリスク、ハバロフスク、1995年に瀋陽、その後、キリギス共和国、インドネシア、韓国など国際文化交流で訪問いたしました。1998年のサハリン訪問の際は、電力会社のストライキで電気は使えず、ホテルのチェックインの際にローソクを渡され、荷物、道具は全て階段で運び、トイレも使えず、シャワーは水でした。その中で、1日に数時間だけ電気が使える時間を利用して移動や食事、舞台の準備、観光、お買い物などしたことが強く記憶に残っております。ソ連、ロシアでは、芸術で多くの素晴らしいものがありますが、観光中に予定外のことが起きると全て政府の都合の良く言われ、空港では理由もわからず夜中まで待機することが何度もありました。
二つ目の団体は、ロータリー2510地区のタイ検証ツアーです。2009-2010年度の渡邉恭久ガバナー年度から参加させていただいております。全て地区委員会との企画は手作りですがハプニングは何度も起きます。以前、タイの子供たちにお土産で「雪だるま」を見せたいと、千歳からタイのウドンタニへ運ぶ途中のことですが、乗り継ぎのバンコク空港入国の税関で時間がかかり大変で一時は無理かと思いました。また、奉仕活動場所へ行くには1日に300km以上の移動は常で、山でバスが動かなくなることもありました。それら全ては、参加されるロータリアンの皆さんが、語学、車のエンジニア、その道に精通している方ばかりの集団ですので、全て対応してくださり今は良い想い出となっております。
私は、スケジュール、時間、運行の管理に専念し、万一のリスクを軽減することに集中させていただいております。大変なことは、他の団体を含めてやむをえず起きますが、参加者の皆さんに協力していただき乗り越えて、永くお付き合いさせていただき自分の財産となり深く感謝しております。

私の海外から見た日本は、平和、清潔、気候は四季があり、国民は優しく、海の幸、山の幸など、自然のものが新鮮で美味しくいただくことが出来る最高の国です。世界で住んでみたいところは日本で北海道、札幌ですが、もう少し雪が少なく春の訪れが早いと良いです。