第2242回例会

第2242回例会(2021年12月13日)

「12月 疾病予防と治療月間に因んで」
中園 直樹 会員 卓話
 
新型コロナウイルス(Covid-19)感染症の理解のため、感染症の基礎的知識の解説を、兵庫県立看護大学 保健師コースで講義した資料を配布して述べた。
感染症とは、宿主生物(H)の生活環に病原体(A)が伝搬(T)され、2種類の異なった生物(HとA)の間で生物学的生態関係が成立した状態のことである。従って、如何なる感染症も
1) 病原体は何?
2) 感染経路はどんなルート?
3) 感受性(宿主である我々ヒトに免疫がある?=罹り得るかないかの有無
の3要因に立ち返ることの重要性を強調した。予防は、その3要因の中で最も取り組み易い要因(病原体対策、感染経路対策、感受性対策)にアプローチすれば良いという大原則を、感染症の幾つかの具体例(コレラ、マラリア、エイズ等)を挙げて解説した。
感受性対策の切り札的なワクチンについては、代表的な麻疹ワクチン(感染防御目的の)、ポリオワクチン(生ワクチンと不活化ワクチンの問題点)、インフルエンザワクチン(重症化予防目的で、鳥、豚、ヒトの人畜共通感染症 zoonosis を例に)を解説した。
また、新型コロナ対策の最前線で活躍する市町村や保健所に勤務する保健師(Public Health Nurse)は、どのような場合に強く感染症を疑うのか、また既知の感染症、あるいは新しい感染症が多数発生したら、また次々に拡がって行く場合には、保健師はどの様な情報を集め、そのデータを集計し、また疫学的(記述疫学、数理疫学)手法を用いて感染症を分析するか、を解説した。
最後に、SIRモデルで考える新型コロナウイルスの感染と拡がりの様子を簡単に紹介した。