第2146回例会

第2146回例会 (2018年8月27日)


地区職業奉仕委員会 委員長 玉井 清治 氏(函館亀田RC)
「時代とともに変化する職業奉仕」

 札幌北ロータリークラブの皆様、こんばんは。本日は三澤職業奉仕委員長様からのご指示により、「時代とともに変化する職業奉仕」と題しましてお話しさせていただきます。
 ロータリーの歴史のなかで、RI(国際ロータリー)に職業奉仕委員会が40年間空白の歴史があります。ポール・ハリスの逝去した翌年の1947年からであります。1987年に40年ぶりに復活されたRI職業奉仕委員会が、「職業奉仕に関する声明」を発表します。実はこの中に書かれている、「クラブが職業奉仕を実践する」について疑義が生まれてくるのです。何故ならば、シェルドンの職業奉仕理論の中からは、クラブが職業奉仕の実践を行うという発想は出てこないからです。職業を持っている個人だから職業奉仕の実践ができるのであって、職業を持たないロータリークラブがどうやって職業奉仕の実践をするのかということです。さらにRIはその具体例としても職場訪問、優良従業員の表彰、ボランティア活動をあげていますが、これが職業奉仕活動にあたるかどうか、疑問の残るところです。素晴らしい職業奉仕の実践をしているクラブの会員の事業所を訪問するのならばともかく、ほとんどの職場訪問は、ビール工場へ行って一杯よばれて帰るのが定石です。これは親睦活動の部類に入るのではないでしょうか。優良従業員の表彰は、その人の地域社会における職業上の功績を表彰するのですから、厳密には社会奉仕であって職業奉仕とは言えないのではないでしょうか。
 最近、企業の不祥事が頻発しています。その結果、たとえ優良な企業であっても、マスコミの厳しい批判にさらされて一瞬にして企業の信用を失墜して消滅するという事例が数多くあります。ロータリアンが経営者ならば、これはまさしく「ロータリーの心」の欠如であり、謝罪記者会見で背広の襟にロータリーバッジが光っていないかヒヤヒヤしているのは私だけでしょうか?
 最近、特に大企業による不祥事は単発的なものではなく、十数年いや、数十年続いた不正が「内部告発」によって表面化するケースが大半です。これは何を意味するかというと、「不正は許せない」と考える現場の人が増えてきた結果、連綿と続いてきた不正が次々に露見している現象と受け止めるべきでしょう。つまり、経営者より、従業員のほうがコンプライアンスにより厳しい考えを持ってきていると考えるべきであり、一部の経営者を除く職業人のモラルが向上していることは日本の国もまんざらでもないようにも思えます。
 昨今、これらの事例を集約して、コンブライアンス、法令遵守ということが提唱されています。しかし、法令を守るということは、人間として当たり前のことで、法令というものは人間として守るべき倫理の最低基準を示すものに過ぎません。したがって、ロータリアンは法令を守っていればよいというレベルの問題でないということ。実は、ロータリーの提唱する職業倫理は、このようなレベルの低いものではありません。法令遵守よりも遥かにレベルの高い倫理基準を提唱するものです。
 ポール・ハリスは「ロータリーはその人の得た金銭の高さによってその人を計らない事である」と語っています。では,何によって計るのでしょうか?「その人の得た業績は金銭的な物もあり、金銭で無いものもあり、目に見えないものもあるでしょう。その業績を上げるに至った前提になる心の質の問題に着目して、人を評価することを職業奉仕的考え方と呼ぶ」と彼は定義しています。札びらで人の頬を叩く様な事はするなよ!金が溜まったというのはたまたま運がよかっただけではないか。俺が業績を上げたと威張るのは結構。だけど外の人ならもっと業績を上げたかもしれない。金が溜まらなかったとしても、良い因縁を蒔いておけば、それが2、3年後に開花して良い果実を産むかもしれないじゃないか。現在の金高だけで判断をしてはいけない。と語っています。
 職業奉仕とは科学的かつ合理的な企業経営方法のことであり、シェルドンの職業奉仕理念に則った企業経営をすれば、継続的に最高の利益が得られることを証明する実践理論でもあります。他の奉仕活動の受益者はロータリアン以外の人たちですが、職業奉仕の受益者はロータリアン自身なのです。そしてそれを端的示したモットーがHe profits most who serves bestなのです。なお、職業奉仕の実践は顧客の満足度を最優先した事業経営の方法ですから、当然のこととして高い職業倫理という結果が現れます。しかしそれは職業奉仕を実践した結果に過ぎず、職業倫理高揚を目的とした活動ではありません。
 2016年規定審議会での変更で、標準RC定款第6条五大奉仕部門にある職業奉仕の説明では、「奉仕の第二部門である職業奉仕は、事業および専門職務の道徳的水準を高め、品位ある業務はすべて尊重されるべきであるという認識を深め、あらゆる職業に携わる中で奉仕の理念を実践していくという目的を持つものである。会員の役割には、ロータリーの理念に従って自分自身を律し、事業を行うこと、そして自己の職業上の手腕を社会の問題やニーズに役立てるために、クラブが開発したプロジェクトに応えることが含まれる。」とあります。クラブが開発するプロジェクトとは、具体的にはどのようなことなのでしょうか?
 テーブルごとに、議論してみてはいかがでしょうか?ありがとうございました。