スリランカ子ども基金 2018 訪問報告

(2018年4月23日)


報告 栗原 清昭 会員

札幌北ロータリークラブ「スリランカ子ども基金」は2014 年に設立され、スリランカ南部の小中学校における健康増進や教育効果促進に寄与するための事業を実施しております。
2018 年2 月23 日~3 月2 日、竹原巖会員、中園直樹会員、栗原清昭会員の3 名がスリランカの小中学校4 校を訪問しましたので報告をさせていただきます。

①スリランカ子ども基金とは…
1998 年以来、小林博会員(国際ロータリー第2510地区パストガバナー)はスリランカにおける保健医療の向上と学校環境の改善に取り組んでこられました。小林会員は総額800 万スリランカルピー(約570 万円)を当クラブに寄付され、これを基にスリランカ子ども基金は設立されました。
当クラブはこの基金をスリランカのコロンボロータリークラブに預託し、当地で毎年生み出される利息凡そ80 万ルピー(スリランカでは現在10%前後の年利)を活用して学校環境の改善に役立てることといたしました。これまでスリランカ南部の6 校に対し子どもたちの健康増進や教育効果促進を目的として、1 校あたり年間5 万ルピーの「インセンティブファンド(激励金)」を贈呈しております。
「インセンティブファンド」は、健康増進や教育効果促進という目標の範囲内であればその使途は問わず、それぞれの学校の子ども達の自主判断に任せます。その効果として子ども達に自主自立の気持ちが芽生え、同時にそのように成長する子ども達の姿を見て親が心を動かし、やがて地域全体が変わっていくことを期待するものです。


自らの力で学校環境整備をする子ども達

②学校の現況
スリランカは長年におよぶ内戦により経済が疲弊しておりましたが、2009 年の内戦終結以降、国外からの投資がすすみ、近年ではコロンボを中心として目覚しい経済発展を遂げています。一方、国内での経済格差は広がっており、特に南部や東北部では現在においてなお貧困から抜け出せておりません。
スリランカ子ども基金の対象となる小中学校は南部に位置しており、施設や設備、保健衛生環境は著しく立ち遅れている状況にあります。


一般的な教室の状況

③インセンティブファンドの課題とこれからの事業
今回の訪問に先立って現地協力者から2017 年度の事業が滞っているとの連絡がありました。その理由は「インセンティブファンドの趣旨目的を学校の先生や生徒に理解してもらい事業をすすめていくには現地協力者が何度も学校を訪問しアドバイスが必要となる。そのために必要な予算が不足している。」とのことでした。
インセンティブファンドは物品や設備を寄贈するものではなく、子ども達の自主判断に任せるものであり、自主自立の意識を育むことを最も大きな目的としています。私たち訪問メンバーはこの趣旨目的が各学校ですでに理解されているものと考えておりましたので大きな驚きがありました。実際、今回訪問先における先生や子どもたちとの話し合いで私たちの考え方とのズレが感じられました。
そこで、今年度は予算の範囲内で事業を進める観点から、学校内での自主的な行動を促進するため、中心的役割を担う先生が存在する学校に絞って事業対象を選定することといたしました。今回選定した学校は 2校+2校(前期事業報告を待って是非を判断)で、本年3 月~12 月までの10 か月間で各校に5万ルピーのインセンティブファンドを贈呈することといたしました。2019 年2 月に事業検証をおこなう予定としております。


断熱改修した教室の天井
(2015 年訪問時はヤシの葉を使用)


トイレの新設

④コロンボロータリークラブとの連携
学校訪問後コロンボロータリークラブと協議をおこない本事業の課題や今後の方向性について突っ込んだ意見交換をすることができました。スリランカ子ども基金事業を進めるうえでコロンボロータリークラブとの緊密な連携は必須であると考えております。
「スリランカ子ども基金」は当クラブ独自の国際奉仕活動であり、スリランカの子どもたちの健康増進や教育環境向上、さらには国際親善に寄与する極めて価値の高い事業です。多くの会員の皆さまが参画していただくことを願っております。

追記:スリットランプその後…
2016 年7 月、コロンボロータリークラブのダヤシリ氏の要請に応じ、当クラブから眼科診察用のスリットランプをスリランカに寄贈しました。社会主義国であるスリランカに光学機器を送ることは容易ではありませんでしたが、当クラブの相沢芙束会員をはじめとする会員の尽力により実現いたしました。
今回寄贈先の病院を訪問し、多くの患者さんの診察に大活躍していることを確認してきました。