第2122回例会

第2122回例会 (2018年1月29日)

職業奉仕委員会担当 谷口 昭博 会員
「歯科(医師)治療という生業」にできる職業奉仕とは?

 札幌駅前で開業しております、谷口歯科診療所 谷口昭博です。
 「歯科(医師)治療という生業」にできる職業奉仕とは?と題して、私の歯科臨床において「他人のニーズを満たす為の挑戦、創意工夫、葛藤」などについて卓話をさせ頂きます。
 
 まず、「職業奉仕」というキーワードでインターネットで検索をかけますと、トップに出てくるのが大阪ロータリー2660地区のサイトでした。
 こちらによりますと、奉仕とは他人のニーズを充たすこと、ロータリーの目的は職業を通して社会の色々なニーズを満たすこと、ということでした。
 以上を踏まえて「私の考える職業奉仕について」考えみました。
 歯科医師として22年間、患者さんのニーズにどう応えるべきか?ということで学会や講習会等で学び総合歯科診療所として日々診療して参りました。
 通常の保険診療、小児歯科、口腔外科など以外にいろいろな専門分野を通して患者さんのニーズに対応させて頂いおります。
 今回は、矯正治療、インプラント治療、歯牙移植治療についてお話させて頂きます。
 因に私の名前(谷口昭博)には、「口」が3つあるんです。これは、もしかて歯科医師という生業が天職?! という意識が御座います。
 口は、生命の入り口であります大変に重要な器官の一つです。その重要な器官に携わる生業でありますのでプライドを持って日々診療しております。
 
 まずは、挑戦というテーマです。
 最初は、矯正治療についてお話をさせて頂きます。
 矯正治療には、歯並びを改善する、噛み合わせを改善する目的があります。しか稀にですが、永久歯が生えかわりの時期に何らかの理由で顎の骨に埋まったまま生えてこないことがあります。
 後続永久歯が萌出してこない為に乳歯をそのまま使っている患者さんがいます。その乳歯に異常がなければそのまま使用し続けることで良いですが、何らかの理由で抜歯に至った場合には、患者さんに幾つかの選択肢をご提案することになります。
 
 ①前後の歯を削ってブリッジ
 ②1本の部分義歯(入れ歯)
 ③埋まっている永久歯を抜歯後にインプラント治療
 ④矯正治療と口腔外科双方の知識と技術による、埋伏している永久歯を本来生えてくる場所へ誘導する矯正治療
 の4つのご提案が可能となります。
 条件や場所によっては、⑤そのまま放ったらかしという選択肢もありえます。
 
 続きまして、インプラント治療です。3つの症例をご提示させて頂きました。
 1つ目の症例は、歯科臨床 総合誌「ザ・クイントエッセンス」への論文投稿を挑戦した症例、アナログであるワイヤーステント(インプラント植立するための物差し)とデジタルであるコンピューターガイドステントによる症例(1本単独症例と多数欠損症例)。 新旧の技術(アナログ技術、デジタル技術)においても決して過信せず、ゴールデンスタンダードな治療ルールを基礎に結果を出せるスキルを持つことが大変に重要であると考えています。患者さんのニーズに応えるべく一緒に難題に挑戦する事や自分の生業において論文発表や学会発表により研鑽を積むことも結果として、職業奉仕に繋がるのではないでしょうか。
 
 次に、創意工夫、葛藤というテーマです。
 私は、日常の臨床でワクワクするような工夫や応用ができないものか?と考えております。
 昨年、通常例会にて小林博会員に「先生のバイタリティは 、やはりガンの研究に対してワクワクする感情からくるものでしょうか?」、「もちろんそうですよ」というお答えを頂いたことを記憶しております。
 例えば、インプラント治療以外にコピューターガイドに出来る事は無いだろうか?など・・・。歯科業界では、 名人芸の一つである「歯牙移植(治療)」。
 術式は、確立しておらず著名な先生方のみの専売特許的な治療です。
 23年前の平成7年4月に歯科医師1年目として初めて行った講習会で知りました「歯牙移植」。初めて聞いた「歯牙移植」のインパクト大きさは、今も忘れません。
 それからインプラント治療を勉強して18年。コンピューターガイドによるインプラント手術を実践して3年経過した時に「歯牙移植」にコンピューターガイドを応用するアイデアを思いついたのです。コンピューター3TSc(Taniguchi Tooth Transplant System concept)歯牙移植の誕生です。
 この3TSc歯牙移植により不明瞭だった「歯牙移植」の術式を確立し、歯牙移植という難易度下げることにより、日本国民の「歯の欠損」に対する選択肢が増えることに貢献できることになります。今までは、歯を失うと①義歯(入れ歯)②ブリッジ③インプラントの3つ選択肢でしたが、④歯牙移植という選択肢が増えることにより健口(けんこう)を保つことが出来ると考えております。
 歯牙移植は、インプラントより生体と結合が早く、もちろん歯牙なので感覚器を備えています。隣の天然歯との連結も可能であり、ブリッジをかけることができます。(インプラトは原則的に天然歯との連結をしない)
 インプラント骨結合期間は、植立手術後上顎4〜6ヶ月、下顎3ヶ月の期間を要します。一方、歯牙移植は最短で 2ヶ月、長くても3ヶ月で噛むことができますので驚異的なスピードです。
 インプラントの下顎3ヶ月 VS 歯牙移植2ヶ月は、さほど有意差はないように感じますが、上顎では圧倒的に歯牙移植が有利となります。今回の 3TSc 歯牙移植症例は、上顎の歯牙欠損に対して最短で結果を出すことが優先された症例を動画でご覧頂きました。
 歯科医師として、人の人生に関わる仕事ができた時、自分の探究心やワクワクが人の為になった時、私もスタッフも感じたのは、仕事に於ける充実感でした。
 日本口腔インプラント学会専門医の私には、インプラントよりも早くに噛むことができる「 3TSc 歯牙移植」という選択肢もあったのです。
 そして、このデジタル歯牙移植技術は、もうすぐ現実になるかもしれない、iPS細胞、幹細胞などの培養により再生された「自分の歯」がクール宅急便でデリバリーされる時代が来た時に歯を失ってしまった場所にどうやって幾何学的な形の歯を移植するのか?という技術の礎になると考えております。
 今後も歯科臨床において、ワクワクするようないろいろなアイデアを具現化して、歯科医師として社会貢献していきたいと考えおります。
 そして、これが現在の「私の考える職業奉仕」と思っております。
 
 本日はこの様な機会を与えてくださいました、関係各位の皆さま、誠にありがとうございました。
 それでは、私の卓話を終わらせていただきます。
 ご静聴ありがとうざいました。