第2084回例会

第2084回例会 (2017年2月6日)

新会員卓話


「歯科医師の仕事」
谷口 昭博 会員

 平成28年9月12日入会の際に簡単な自己紹介をさせて頂きましたが、この度このような機会を頂きましたので、私の仕事についてお話させて頂きます。
 私は、東京歯科大学を平成7年に卒業し勤務医を経て、父が開業しておりました札幌駅前の旧三井ビル11階で、父・谷口良一と一緒に診療しておりました。その後、三井ビル建て替えの為、仮店舗への移転、リーマンショックを経て何とか今の三井ビルへ移転できたのは、ほんの2年前です。
 歯科医師の仕事ですが、「一般歯科治療」というのは皆さんもご存知の「虫歯治療」、「抜歯などの外科治療」、「歯周病治療」、「補綴(ほてつ)治療」となります。補綴というのは「差し歯」や「入れ歯」を作ることです。ですから、芸能人は歯が命などの審美歯科治療はこの治療の延長線上になります。基本的には、これらの組み合わせで一般歯科治療が成り立っています。
 しかし、これらの組み合わせだけでは治療ができない分野がございます。それが専門分野の治療となります。

私は、「一般歯科治療」以外に大きく分けると3つの専門分野を持っています。
●まず一つ目は、口腔インプラント治療です。
 日本口腔インプラント学会に所属しており、会員数は約1万4千人でありまして、日本のインプラント学会では最大級です。学会専門医ライセンス所有者数は約1,200人おり、8年前に取得致しました。
 では、専門医とは何なのか?これは、ある一定基準以上の適応症に対応できる事、学会発表、筆記試験、口頭試問、論文試験をクリアーしなくては取得できません。具体的に言いますと、例えば度合いにもよりますが、歯を失った顎の骨が幅や高さが足りなくてインプラント治療が不可能と判断された患者さんに対して、当診療所では、患者さん自身から採血を行い、血小板(成長因子)を濃縮して人工骨と混ぜ合わせる再生療法を行うことで、インプラント治療が可能な顎の骨を再生し提供することができます。
●二つ目は、「噛み合わせ治療」です。
 日本顎咬合(がくこうごう)学会噛み合わせ認定医ライセンスを所有しております。特に顎関節症でお悩みの方。何処で噛んで良いのかわからない方。顎の位置が定まらない方。噛み合わせの再構成を希望の方を診ております。上あごは頭蓋骨に付着しておりますが、下あごは上あごに筋肉や皮膚等の軟組織によりぶら下がっています。いつも噛んでいる所が、骨格や歯並びと噛むことが快適な位置かどうかは別なのです。上下、前後、左右、捻れ、あるいはそれぞれの組み合わせによる顎の位置が適正ではない位置にあるために頭痛、耳鳴り等の不定愁訴が発現してしまうことがあります。同じとは言いませんが、履き慣れない靴による靴擦れ状態に少し似ています。噛み合わせは、歯並びに支配されているのです。現状の噛み合わせを何も調べないで、差し歯や入れ歯、インプラント治療、噛み合わせの再構成を行うと、どんなことが起きてしまうのか?当診療所では、本格的に治療を開始する前にあらゆる「噛み合わせ検査」を行っております。
●そして三つ目は、口臭治療です。
 日本口臭学会の口臭認定医ライセンスを所有しております。口臭治療というのは、珍しいのか9回ほどテレビ出演をさせて頂きました。
 口臭の原因は様々なのですが、例えば、ニンニクを食べた次の日に悩んでいる人はいません。口臭外来にいらっしゃる患者さんはお口のケアーに対して大変関心のある方が殆どです。他の歯科医院を数件、内科検診、耳鼻科などに通院しても思うように改善されないということで私のところに来院されます。
 最も多い口臭の原因としては、口腔生理機能が著しく低下している方です。唾液の分泌量が、安静にしている時でも咀嚼している時でもとても少なく、そして唾液自体の免疫力が低下していることが主な原因です。それは、咀嚼回数、生活習慣、食生活習慣、絶対的な水分不足の為に起きてしまう事が多いのです。これは口臭に限らずの話ですが、歯に汚れが着き易い、虫歯になりやすい、歯周病になりやすいというのもこれが原因の一つです。

 本日、お話しさせて頂きました専門分野3つは、実は全て繋がっています。
 よく噛めるための正しい顎の位置を分析し、よく噛むために入れたいインプラントの位置に骨が無い場合には再生療法を応用してインプラント手術が可能な環境にして、そして咀嚼を通して口腔生理機能を正常化させる事が長期的な予防に大きく影響します。
 さて、このような情報が通常、一般歯科治療を受診されている方々に伝わっているのかと言いますと、実際は残念なことに保険治療ではこのような治療はできない為、詳しく説明されていない事が殆どです。それではどうしたら、最終ゴールである予防(歯科)に繋がるのでしょうか?

 最後にこちらの写真をご覧ください。フロキシンで染め出すとこちらです。
 
 これは「保険治療で作製した金属とプラスチックの差し歯」と「セラミックで作製した差し歯」の歯垢の着き易さを示したものです。どちらが歯ブラシで清潔に保てるのか?清潔にし易いのか?その結果が究極の予防歯科として患者さんのお口の健康維持に繋がることを日々の診療でお話しさせて頂いております。

 以上が私の仕事の一部ですが、続きはまたの機会にさせて頂きます。本日は、このようなお時間を頂きまして誠に有難うございました。


「私の仕事」
松浦 康雄 会員

 私は、昭和46年生まれで、札幌出身です。中学3年の時にテレビでボリス・ベッカーという選手のプレイに衝撃を受けました。影響を受けやすい私は、さっそく高校でテニス部に入部しました。男子高だったので他校の女子との交流も期待していたのですが、テニス以外は特に何もない3年間でした。高校3年の時には全道大会に出場し、大学に入ってからも部活とアルバイトではテニスのインストラクターなど、4年間はテニス漬けの学生生活を送っていました。
 バブル崩壊後の就職氷河期に加え、将来について深く考えず大学生活を過ごしたため、就職活動は大変苦労しました。このままだと就職浪人かテニスのインストラクターを続けるかどうしようかと考えていたときに、当時の会長と社長に今の建設会社に入れてもらうことになりました。このことは、いまでも感謝しております。
 会社に入ってから初めのころは本当に大変でした。建築について全く知識もないので言われたことは何でもやりました。日中は材料の運搬、足場掛け、基礎工事。夜は、見積、図面書き。帰宅後は建築士の勉強。夜中に遊ぶという生活でした。小さい規模の会社だったため多くの貴重な経験ができたと思っています。数々の失敗を経験しながらも現場監督を約20年やってきました。
 一昨年よりアフターメンテナンス・リフォームの部門を任されております。他の業種でもそうだと思いますが住宅建設会社にとって、アフターメンテナンスは新築を建てることと同じく重要な役割を担っています。定期点検をすることで、お客様には判りづらい経年劣化等を見つけることができますし、建物の弱い部分を設計や現場にフィードバックすることで技術の向上を計れます。また、どのタイミングでメンテナンスするかによって、建物の持ちやメンテナンス費用も変わってきます。適した時期に実施することで、余分な費用を抑えることもでき、結果的にはお客様の財産を守ることになります。
 私たちの仕事というのはお客様の財産をつくり、それを永く守るお手伝いをすることではないかと思っております。
会社も25年ほど続くとお客様の数も700件ほどになりました。私たちは年間何十棟もの住宅を手がけますが、お客様にとっては一生に一度の大きな買い物です。そういうお客様の夢のマイホームへの期待や思いをくみ取り、社員一丸となっていつまでも安心して快適に暮らせる家づくり・メンテナンスをしていきたいと思っています。