第2079回例会

第2079回例会 (2016年12月12日)


「疾病予防と治療月間に因んで」
ロータリー財団委員会 中園直樹 委員長

 世界保健機関(WHO)の西太平洋諸国事務局(WPRO)のフィリピンマニラの女医Mercado女史の神戸大学での講演で使用した写真の一部を拝借して現状を紹介した。
 WHOがDALY(障がい調整生命年;Disability-Adjusted Life Year)で疾病負荷の程度を「早死により失われた期間」や「疾病により障がいを余儀なくされた期間」などの失われた潜在的な年数をWHOが計算、試算したDALYのワースト10は以下の通り。

1.下気道感染症(肺炎などの感染症で、乳幼児が最も多く、次に高齢者と成人)。
2.下痢症(下痢での脱水を含む、汚染された水や食物に起因)。
3.うつ病(精神疾患、中毒を含む)。
4.虚血性心疾患(心筋梗塞など)。
5.HIV/AIDS(致死率は低下してきて慢性の性感染症へ)。
6.脳血管疾患(脳卒中、脳梗塞など)。
7.未熟児、低出生体重(発育、発達障がい等を含む)。
8.出生時仮死、出生外傷(出生後の障がいを起こす)。
9.交通事故。
10.新生児の感染症(多くがワクチンで予防可能)。11.結核(低栄養が増悪因子)。
12.マラリア(蚊が媒介する)。
13.COPD(慢性閉塞生肺疾患;気管支喘息、肺気腫、慢性気管支炎などで、タバコや大気汚染に起因するものを含む)。

 その他に、飲酒による疾患や事故、先天異常。また近年は、途上国でも、好ましくない生活習慣による糖尿病や肥満。暴力によるDALYが大きく、「社会的な原因による疾病負荷、健康負担がますます大問題になってきている」とWHOは指摘している。
 DALYワーストの疾病や障がいへWHOの対策と予防の具体例としては

1.ワクチン(肺炎ワクチン、麻疹ワクチン)と必須医薬品(抗生物質)提供。
2.ワクチン(ロタワクチン)と経口補水剤の提供と衛生的な飲料水、トイレの供給。
3.薬物(麻薬)撲滅とアルコール飲酒対策。
4.肥満対策と健康指導(禁煙、運動)。
5.感染症対策(コンドームの配布、薬物乱用対策、性病対策)。
6.肥満対策と健康指導(減塩対策と血圧測定)。
7.保健(母親への教育、若年妊娠のリスクと栄養指導)。
8.分娩キットの整備とTBA(伝統的産婆)の再教育。9.ワクチン接種の徹底。
10.ワクチン(BCG)の徹底と結核治療剤の配布と服用の徹底。
11.蚊帳の配布と水溜りの清掃。
12.禁煙教育(特に若年の喫煙対策)

などで、対策と予防を啓蒙、実践している。

 国際ロータリー(RI)はそれに呼応する形としてポリオプラス(ポリオワクチンの他に+乳幼児へのワクチン接種+ビタミンA補給、ヨード塩、栄養指導)を全世界的に展開している。またGF(Global Fund)やMG(Matching Grant)のプロジェクトとして、安全(衛生的)な飲料水の確保のプロジェクトとトイレの整備、給食などを通しての食物カロリーの補完や栄養(ビタミン、ヨード)補充、若年妊娠への対策としてのファミリープランニングなど、数多くのプロジェクトをロータリーは途上国で積極的に展開しており、疾病の予防や治療に貢献していることを誇りにして下さい。