第2072回例会

第2072回例会 (2016年10月24日)


「2017冬季アジア札幌大会-成長するアジア-」
第8回札幌アジア冬季競技大会組織委員会
専務理事 事務総長 生島典明 氏

<アジア大会とは>
 さて、オリンピックのことを知らない人はいないと思いますが、「アジア大会」って、ピンときますか?実は、アジア大会の運営はオリンピック組織がやっています。オリンピックの五輪というのは、世界の5つの大陸を表しています。その5つの輪が重なり合って、一緒に行う総合スポーツ大会がオリンピックです。
 そうして、大陸ごとに国内オリンピック委員会の連合体があって、競技大会を行っています。アジアでは、OCA=The Olympic Council of Asiaアジアオリンピック評議会という団体があるのですが、このOCAが主催する大会がアジア大会です。したがって、アジア大会は世界人口の約6割を占めるアジアの大会ですから、世界最大の地域オリンピックということが言えます。

 

<冬季スポーツとは>
 1972年札幌でアジア初の冬のオリンピック開催。その日本がアジアでも冬のスポーツを発展させようと冬のアジア大会を提唱し、1986年札幌で第1回が開催されました。過去、日本で3回、韓国で1回、中国で2回、カザフスタンで1回の計7回開かれていますが、アジアで大会を開催できる地域は北方の拭きが降る地域に限られています。
そうなると暑い国、砂漠の国が多いアジアで冬季スポーツってどうかなという疑問が当然湧いてきますが、オリンピック憲章では、「雪上または氷上で行われる競技のみが冬季競技とみなされる。」と書いてあるのです。暑いとか寒いとか、夏とか冬とかは関係ないのです。
 雪と氷があれば、どこでもウインタースポーツができるということで、経済成長著しいアジアでは、スケートリンクがどんどん作くられ、ウインタースポーツが盛んになってきています。その典型がアイスホッケーで、今の想定では、男子20か国、女子7か国が参加予定です。

 

<発展するアジア>
 第1回大会は、参加した国、地域が7つ、人数は選手役員合わせて430人ですが、今回は、30の国と地域、1500人の参加人数を目指しています。アジアでウインタースポーツがいかに盛んになっているかがうかがえます

 

 2017冬季アジア札幌大会は、2017年2月19日(日)から2月26日(日)までの8日間、札幌市と帯広市(スピードスケートのみ)で開催されます。種目は①スキー(ジャンプ、クロスカントリー、アルペン、フリースタイル、スノーボード)、②スケート(スピード、フィギュア、ショートトラック)、③アイスホッケー、④カーリング、⑤バイアスロンの5競技11種別です

<アジアのエネルギーを札幌へ>
 1972年のオリンピックを契機として札幌は大きく変わりました。人口が2倍になり、それを支えるインフラである道路とか地下鉄ができました。国際的な知名度も上がりました。発展期のおけるオリンピックでした。今は、少子高齢化を背景に人口が減少することが予測されています。
 一方、経済発展が進むアジアでは、スポーツ施設が整備され、個人の所得が増えることに伴ってスポーツが盛んになっています。また、海外旅行熱も高まっていますが、リピーターとして来てもらえる仕掛けが必要です。そのために、スポーツが大きな力を発揮する可能性秘めています。
 また、2018年韓国で、2022年中国で冬季オリンピックが開催されます。冬季スポーツ熱が東アジアを中心にあがることとなるでしょう。そのエネルギーを札幌のまちづくりに生かすため、アジア大会は成功させなければならないのです。

<オリンピック・パラリンピック招致のために>
 アジア大会について話してきましたが、イベントとしての知名度、影響力はオリンピックにはかないません。1972年の札幌オリンピックを知らない世代が増えています。当時整備した社会インフラも更新の時期を迎えています。再びオリンピック・パラリンピックを開催して、オリンピック開催都市の市民だという誇りと新しいまちを若い世代にもたらすことが我々世代の責任です。
 そうして、オリンピック・パラリンピック招致のために、冬季アジア大会を成功させて、次の2つのことを証明しなければなりません。
 ひとつは、国際的冬季スポーツイベントの実施能力です。札幌ならちゃんとできるぞという証明です。もう一つは、国際的冬季スポーツイベントをオール札幌、オール北海道で支え、楽しむ機運の醸成、つまり、スポーツイベントを歓迎し、皆で楽しみ、盛り上げようとする札幌市民、北海道民がいるということの証明です。特に後者は市民の皆さんが会場に足を運ぶことが重要になってまいります、皆様の熱いご支援よろしくお願いいたします。